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胃がん

目次

胃がんとピロリ菌

胃がんは胃粘膜にピロリ菌が感染し慢性的に炎症が続くことで発症します。ピロリ菌検査でピロリ菌感染が認められたら除菌治療を行います。除菌治療は抗生物質など3種類の内服薬を1週間内服します。除菌が成功すると胃がんの発生を減らす事ができます。ただし除菌が成功しても胃がんになる場合もあります。除菌治療は消化器内科で行なっています。

胃がんの症状

早期がんでは症状がないことが多いため胃炎、胃潰瘍などの症状で上部消化管内視鏡検査を受けた時や、がん検診で発見されます。進行がんでは上腹部の痛み、違和感、ムカつき、胸焼け、吐き気、食欲低下、貧血、下血、体重減少などさまざまな症状が出ます。

胃がんの診断

胃がんは主に上部消化管内視鏡(胃カメラ)で診断されます。胃粘膜のびらん、発赤、陥凹、隆起、潰瘍などを認め胃がんが疑われた場合、鉗子で組織を採取して生検を行います。採取した組織で病理検査を行い診断をつけます。高解像度の拡大内視鏡を用いた観察、色素で粘膜に色をつけたり特殊な光線(NBI)を用いた観察によりがんの深さ(深達度)や広がりを調べます。進行がんではバリウム検査、CT検査などを行いがんの深さ、広がり、リンパ節転移、他臓器転移の有無を調べます。

胃がんの進行度(Stage)

胃がんは胃壁のもっとも内側の粘膜層から発生し、徐々に胃壁に深く浸潤し粘膜下層→固有筋層→漿膜下層→漿膜と広がっていきます。がんが粘膜層を超えて浸潤すると胃の周囲のリンパ節に転移することがあります。がんは胃壁の外の臓器にまで浸潤する場合もあります。また進行がんでは肺、肝臓、腹膜などの他臓器へ転移することがあります。胃がんの進行度は、がんの深さ(深達度)、リンパ節転移、他臓器転移の有無をもとに、Stage Ⅰ、ⅡA、ⅡB、Ⅲ、ⅣA、IVBに分類されます。

  • Ⅰ:がんが固有筋層までにとどまりリンパ節転移がない
  • ⅡA:がんが固有筋層までにとどまりリンパ節転移がある
  • ⅡB:がんが固有筋層を超えていてリンパ節転移がない
  • Ⅲ:がんが固有筋層を超えていてリンパ節転移がある
  • ⅣA:がんが胃壁を超えて周囲に浸潤している
  • IVB:他臓器転移がある
進行がん

胃がんの治療

内視鏡治療

粘膜内にとどまっている胃がんの一部はリンパ節転移がほとんどないことがわかっています。粘膜内にとどまっていてリンパ節転移の可能性が低い胃がんは内視鏡治療の適応になります。内視鏡治療には内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。いずれも内視鏡の先から出した器具を用いてがんを含んだ胃の粘膜を切除する方法です。切除した組織の病理検査で胃壁への浸潤が予想より深かった場合やリンパ節転移の可能性がある場合は手術により胃切除を追加することがあります。

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手術

胃がんが粘膜層を超えて粘膜下層に浸潤するとリンパ節に転移する可能性があります。このような胃がんに対しては手術を行い胃と周囲のリンパ節を切除します。がんの位置、大きさ、進行度により胃の切除範囲が決まります。がんが周囲の臓器に浸潤していたり他臓器に転移していても手術でがんが取り切れる場合は他臓器も切除することがあります。

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切除不能胃がん、再発性胃がんの治療

他臓器転移や他臓器浸潤のため手術で取りきることが難しい切除不能胃がんや根治手術後に再発した再発性胃がんに対しては抗がん剤による化学療法を行います。転移性胃がん、再発性胃がんでも手術でがんが取り切れる場合は手術を行う場合があります。切除不能胃がんや再発性胃がんは化学療法で完治することは稀ですが延命効果や症状緩和効果があります。化学療法に使われる抗がん剤は多数ありますが、がん細胞の遺伝子変化やタンパク質の発現を調べることでどの抗がん剤が有効かがわかります。