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がん地域連携クリニカルパスについて

がん地域連携クリニカルパスについて

『クリニカルパス』とは、治療の予定表のようなものです。治療の方法や、実際の予定をあらかじめ示すことで、先行きが見通せ、治療に対する安心感が得られたり、治療が順調に進んでいるかどうか判断したりするのに役立ちます。現在では、多くの入院治療でクリニカルパスが適応されています。
がん治療は、手術や抗がん剤、放射線治療など、治療の主体は病院にならざるを得ません。そして、そうした事情から、10年ほど前までは、一度がんになると、かかりつけ医のもとを離れて、病院が治療後も外来診療を継続することがほとんどでした。しかし、医療の進歩により、がんが治るようになってくると、ある程度経過観察を終えて、かかりつけ医に戻った時に、かかりつけ医による治療に切れ目が生じることとなりました。この問題を解決するために、『クリニカルパス』の仕組みを取り入れて、かかりつけ医にも治療後早期から情報を共有していただく仕組みが考えられました。これが『がん地域連携クリニカルパス』です。

つまり、『がん地域連携クリニカルパス』は、がんに対する手術治療(内視鏡手術を含む)を受けた後の経過観察において、治療を担当した医師とかかりつけ医が、協力して患者さんをサポートする仕組みのことを言います。治療を担当した医師は、これまで通り、術後の定期的な精密検査を行い、再発の有無をチェックします。一方、かかりつけ医は、高血圧や糖尿病など、もともと持っている病気(基礎疾患)に対する治療を継続しながら、あるいは、風邪をひいた時などにまず対応するホームドクターとしての関わりを持ちながら、がん治療についての情報を共有します。こうすることで、かかりつけ医は、治療を継続することができると同時に、患者さんの癌についての病状も把握することができるようになりました。患者さんには、県が作成した共通の手帳を持っていただき、ご自身の診療記録として情報を共有していただくことができます。旅先で急に体調を崩して医療機関にかかることになった時にも、この手帳があれば、自分の病気について、簡単に、確実に伝えることができます。手帳の中には、手術時のがんの状態や手術に関する情報、基礎疾患やアレルギーに関する情報、治療計画予定表、受診ごとの記録欄のほかに、術後生活の注意点や後遺症に対する対処法などが書かれています。

当院では、2015年より本格的に導入を進めており、2021年12月までに、胃癌(内視鏡手術後)132例、胃癌術後48例、大腸癌術後76例、肺癌術後75例の登録がありました。また、ご協力をいただいているかかりつけ医療機関は132施設になります。
今では、2人に1人が、少なくとも一度は『がん』になると言われています。これまで以上に、がん診療における、地域のクリニックと病院の連携が重要になってくると思われます。そのために『がん地域連携クリニカルパス』という仕組みを普及していくことが必要だと考えています。