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子宮体(しきゅうたい)がん

目次

子宮体がん

子宮の内側に存在する子宮内膜(しきゅうないまく)から発生するがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。通常(つうじょう)(ない)(まく)生理(せいり)によって()がれ落ちて更新されるため、生理がある年代の患者は比較的少なく、生理が終わった50~60歳代が最も多くなるという特徴があります。

子宮体がんの症状

主な症状としては、生理中ではないのに性器(せいき)から出血(しゅっけつ)があったり、閉経(へいけい)()に性器から出血があったりするなどの不正出血(ふせいしゅっけつ)です。不正出血の程度には個人差があります。また、進行すると不正出血以外に下腹部の痛みなどの症状が出ることもあります。

子宮体がんの診断

子宮体がんはまず子宮内膜の細胞(さいぼう)(しん)組織(そしき)(しん)で診断されます。子宮内腔に細い器具を挿入して、子宮内膜の一部を摘出(てきしゅつ)して顕微鏡(けんびきょう)でがんの有無を調べる検査です。
内診(ないしん)超音波検査(ちょうおんぱけんさ)、CT検査、MRI検査などを行い、リンパ(せつ)転移(てんい)の有無、()臓器(ぞうき)への遠隔(えんかく)転移(てんい)の有無、周辺(しゅうへん)臓器(ぞうき)への広がりなどを調べます。
これらの検査結果からがんの進行(しんこう)()(ステージ)が決定されます。

子宮体がんの進行度(ステージ)

子宮体がんの(びょう)()(ステージ)はがんの筋肉(きんにく)浸潤(しんじゅん)や周囲への広がり具合、他臓器への転移によって、基本的には手術後にⅠ〜Ⅳ期に分かれます。

Ⅰ期 がんが子宮体部に留まっている

  • ⅠA期:がんの浸潤が子宮筋層1/2未満
  • ⅠB期:がんの浸潤が子宮筋層1/2以上

Ⅱ期 癌が子宮頸部に広がる

Ⅲ期 癌が子宮外に広がるが、骨盤を越えていない場合やリンパ節に転移している

  • ⅢA期:がんが子宮表面や卵巣(らんそう)(らん)(かん)に広がる
  • ⅢB期:(ちつ)子宮(しきゅう)周囲(しゅうい)組織(そしき)に広がる
  • ⅢC期:リンパ節に転移がある

Ⅳ期 膀胱や腸管の粘膜まで及ぶ、あるいは遠隔転移がある

  • ⅣA期:膀胱や腸管粘膜に及ぶ
  • ⅣB期:(はい)腹腔(ふくくう)(がい)のリンパ節などへ転移がある

子宮体がんの治療

手術治療

子宮体がんでは、基本的に子宮(しきゅう)()(のぞ)く手術が行われます。子宮(しきゅう)(ぜん)摘出(てきしゅつ)(じゅつ)両側(りょうそく)付属(ふぞく)()切除(せつじょ)(じゅつ)を基本として、加えて骨盤(こつばん)(ぼう)大動脈(だいどうみゃく)リンパ節(かく)(せい)が検討されます。筋層(きんそう)浸潤(しんじゅん)などがあり、進んでいると推定される場合には、リンパ節の摘出術(郭清)が行われます。
手術は、お腹を切り開く開腹(かいふく)手術(しゅじゅつ)、お腹に小さい(あな)を開けて行う体への負担が少ない腹腔鏡(ふっこうきょう)()手術(しゅじゅつ)、ロボット手術などがあります。進行期により手術方法・術式を決定しています。

薬物治療

化学療法(かがくりょうほう)(抗がん剤による治療)

子宮体がんでは、術後、中・高リスク群と診断された場合は、追加(ついか)治療(ちりょう)補助(ほじょ)療法(りょうほう))が必要となります。追加治療としては、化学療法(抗がん剤治療)が主に行われます。これは、再発を抑えるために行うもので、手術でも摘出できなかったような目に見えないがんをやっつけるために行います。
また、がんが広がっていて、手術ができないような場合や再発した場合にも化学療法を行うことがあります。

免疫(めんえき)チェックポイント阻害(そがい)(やく)

免疫は、細菌(さいきん)やウイルス、がん細胞などの異物(いぶつ)攻撃(こうげき)して排除(はいじょ)するようさまざまな働きをします。また、働きが過剰(かじょう)になりすぎると、体を傷つけてしまうため、免疫機能にブレーキをかける仕組みも備わっています。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞への「免疫機能に対するブレーキ」を解除(かいじょ)し、活性化した本来の免疫機能により、がん細胞を攻撃(こうげき)する治療です。

分子標的治療(ぶんしひょうてきちりょう)(やく)

細胞に増殖(ぞうしょく)命令(めいれい)するスイッチのような分子や血管を新たに作る分子の働きを阻害することで、がんの増殖を抑える治療です。がん細胞の増殖や転移に関わる分子を標的として、がん細胞の増殖を抑制する効果が期待できます。

免疫チェック阻害薬や分子標的治療薬は、主に手術をうけて、化学療法をおこなったあとに再発を起こした子宮体がんや、がんが進行して手術ができない場合に使用されます。

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