子宮の内側に存在する子宮内膜から発生するがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。通常内膜は生理によって剥がれ落ちて更新されるため、生理がある年代の患者は比較的少なく、生理が終わった50~60歳代が最も多くなるという特徴があります。
主な症状としては、生理中ではないのに性器から出血があったり、閉経後に性器から出血があったりするなどの不正出血です。不正出血の程度には個人差があります。また、進行すると不正出血以外に下腹部の痛みなどの症状が出ることもあります。
子宮体がんはまず子宮内膜の細胞診や組織診で診断されます。子宮内腔に細い器具を挿入して、子宮内膜の一部を摘出して顕微鏡でがんの有無を調べる検査です。
内診、超音波検査、CT検査、MRI検査などを行い、リンパ節転移の有無、他臓器への遠隔転移の有無、周辺臓器への広がりなどを調べます。
これらの検査結果からがんの進行期(ステージ)が決定されます。
子宮体がんの病期(ステージ)はがんの筋肉浸潤や周囲への広がり具合、他臓器への転移によって、基本的には手術後にⅠ〜Ⅳ期に分かれます。
子宮体がんでは、基本的に子宮を取り除く手術が行われます。子宮全摘出術+両側付属器切除術を基本として、加えて骨盤・傍大動脈リンパ節郭清が検討されます。筋層浸潤などがあり、進んでいると推定される場合には、リンパ節の摘出術(郭清)が行われます。
手術は、お腹を切り開く開腹手術、お腹に小さい穴を開けて行う体への負担が少ない腹腔鏡下手術、ロボット手術などがあります。進行期により手術方法・術式を決定しています。
子宮体がんでは、術後、中・高リスク群と診断された場合は、追加治療(補助療法)が必要となります。追加治療としては、化学療法(抗がん剤治療)が主に行われます。これは、再発を抑えるために行うもので、手術でも摘出できなかったような目に見えないがんをやっつけるために行います。
また、がんが広がっていて、手術ができないような場合や再発した場合にも化学療法を行うことがあります。
免疫は、細菌やウイルス、がん細胞などの異物を攻撃して排除するようさまざまな働きをします。また、働きが過剰になりすぎると、体を傷つけてしまうため、免疫機能にブレーキをかける仕組みも備わっています。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞への「免疫機能に対するブレーキ」を解除し、活性化した本来の免疫機能により、がん細胞を攻撃する治療です。
細胞に増殖を命令するスイッチのような分子や血管を新たに作る分子の働きを阻害することで、がんの増殖を抑える治療です。がん細胞の増殖や転移に関わる分子を標的として、がん細胞の増殖を抑制する効果が期待できます。
免疫チェック阻害薬や分子標的治療薬は、主に手術をうけて、化学療法をおこなったあとに再発を起こした子宮体がんや、がんが進行して手術ができない場合に使用されます。