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卵巣がん・卵管がん

目次

卵巣がん・卵管がん

卵巣がんは子宮の左右にある卵巣に発生する悪性腫瘍で、卵管に発生する悪性腫瘍が卵管がんです。初期の段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行するとお腹が張る、下腹部が痛むなどの症状が現れます。
卵巣がん、卵管がんは同様な治療を行います。

卵巣がん・卵管がんの症状

卵巣がんの症状には、次のようなものがあります。

  • 下腹部痛
  • 腹部の膨満感
  • 頻尿、便秘
  • 腰痛
  • 体重減少
  • 疲れやすさ
  • 月経異常
  • 脚の浮腫み など

初期の卵巣がんはほとんど症状がないため、発見されないことが多く、病気が進行してステージⅢ~Ⅳで見つかる患者さんが約40%以上を占めると言われています。

卵巣がん・卵管がんの診断

内診

卵巣は体の奥にあるため、大きさ、形状、癒着の有無などを内診で確認します。

画像診断:超音波検査で卵巣の大きさや内部の状態を確認します。またCTやMRIなどの画像検査で、子宮、膀胱、直腸など他臓器への影響、腫瘍内部の性状、リンパ節への転移など観察することで、良性、境界悪性、悪性かが推測されます。

組織学的検査

卵巣がんと確定診断するためには、手術で採取した検体を顕微鏡で確認する組織学的検査で診断します。

腫瘍マーカー

画像診断に加え腫瘍マーカーによる血液検査が重要となります。腫瘍マーカーだけでは悪性度や進行度などの判定はできませんが、治療の前後での数値の変化をみることは、治療効果の判定、再発の早期発見に有効とされています。

卵巣がん・卵管がんの進行度(ステージ)

卵巣がんの病期(ステージ)はがんの周囲への広がり具合、他臓器への転移によって、基本的には手術後にⅠ〜Ⅳ期に分かれます。

Ⅰ期 腫瘍が卵巣に限局している

  • ⅠA期:片側の卵巣に限局し、皮膜へ浸潤していない。腹水にがん細胞がない。
  • ⅠB期:両側の卵巣に限局し、皮膜へ浸潤していない。腹水にがん細胞がない。
  • ⅠC期:がんが片側または両側の卵巣に限局している。
    • ⅠC1期:手術操作によって皮膜が破綻している
    • ⅠC2期:皮膜が破綻しているか、皮膜へ浸潤している
    • ⅠC3期:腹水にがん細胞がある

Ⅱ期 腫瘍が片側または両側の卵巣に存在し、骨盤内へ広がっている

  • ⅡA期:がんが子宮や卵管に広がる
  • ⅡB期:骨盤内の他の臓器へ広がる

Ⅲ期 腫瘍が片側または両側の卵巣に存在し、腹膜播種やリンパ節転移をしている

  • ⅢA1期:リンパ節に転移がある
  • ⅢA2期:顕微鏡的な播種がある
  • ⅢB期:2cm以下の播種がある
  • ⅢC期:2cm以上の播種がある

Ⅳ期 腹膜播種を除き、遠隔転移している

  • ⅣA期:胸水にがん細胞がある
  • ⅣB期:肺や肝臓、腹腔外のリンパ節などへ転移がある

卵巣がん・卵管がんの治療

卵巣がんの治療は、手術治療、薬物治療に大きく分けられます。
CTやMRI検査で病変の広がりを評価し、手術が可能な状態であれば手術を行い、組織型と進行期を診断します。手術後は診断に基づいて化学療法が行われることが多いです。

手術治療

基本的な術式は、開腹手術で両側卵巣と卵管(付属器)、子宮、大網を摘出します。
病変をすべて摘出でき、患者さんの全身状態・合併症等が問題なければ後腹膜リンパ節郭清を行う場合もあります。
若年者に対しては、がんの状態に応じて妊孕能温存手術(妊娠できる可能性を残す手術)として、片側(病気の側)卵巣・卵管と大網摘出を行います。

審査腹腔鏡手術

卵巣の摘出が困難な場合、腹腔鏡でお腹の中を観察し、播種などの一部組織のみを摘出し診断を行います。腹腔鏡手術であれば侵襲が少ないため、次の治療が開始しやすくなります。

薬物治療

卵巣癌は進行した状態で発見されることが多いため、抗がん剤治療(化学療法)を行うことがほとんどです。早期に発見された場合でも、再発危険性が高いと判断した場合には、術後に化学療法を行うことがあります。また、病変が広がっていて手術で十分摘出できないと判断した場合や、合併症などが原因で、全身状態が手術に適さない場合などは、術前に化学療法を行うことがあります。

卵巣癌は抗がん剤が効きやすいがんの一つと言われており、数種類の抗癌剤を組み合わせてがんの進行、再発を防ぎます。その他、がんの増殖などに関わっている分子を標的とするする分子標的薬も併用して投与することがあります。

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