はじめて受診される際は、紹介状が必要です。
地域の皆様に信頼される泌尿器科として、安全で確実な治療を提供するために、7人の泌尿器科専門医によるチーム医療で日々診療に取り組んでいます。"尿路感染症から前立腺がんの終末期まで"を合言葉に、患者さんと疾患を選ばない幅広い対応と迅速かつ適切な治療を提供することを目標にしています。患者さんの病状、全身状態、生活環境、ご希望を考慮して最適な治療を提案し、治療方針を決定します。
ほぼすべての泌尿器科疾患の治療を行っています。急性期病院として、悪性腫瘍、排尿障害、尿路感染症、尿路結石、尿路外傷など泌尿器科救急疾患にも対応し、迅速に診断して速やかに治療を開始します(前立腺癌の小線源療法や重粒子治療、腎移植、精巣癌の大量化学療法、小児の特殊な疾患は、大学病院や専門病院にご紹介します)。
当科の診療の中心は、泌尿器科悪性腫瘍(尿路性器癌)と前立腺肥大症の治療です。悪性腫瘍の手術を数多く経験しており、手術成績の向上(予後の改善、合併症の軽減、QOLの維持)を目指して努力しています。2019年5月からダヴィンチによるロボット支援前立腺全摘手術を開始し、2024年現在では、ロボット支援下で前立腺全摘術、膀胱全摘術、腎部分切除術、腎摘術、仙骨子宮固定術を施行しています。2024年のロボット支援手術は総数で約130件でした。
膀胱癌の内視鏡的治療(TURBT)では、5-アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた光線力学診断(PDD)を導入して、確実な切除を目指しています。
前立腺肥大症に対して最新治療であるツリウムレーザー蒸散術を中心に施行していますが、水蒸気治療(レジューム)や前立腺吊り上げ術(ウロリフト)も導入し、出血量が少なく入院期間が短縮される低侵襲な手術が可能になりました。
前立腺生検ではMRI融合標的生検を導入して正確な生検施行して前立腺癌の診断率の向上を目指しています。
また、外来の診療が充実、効率的に運営できるように、良性疾患や悪性腫瘍で症状が安定している方は、ご近所の泌尿器科専門クリニックへの紹介を推進しています。地域の皆様に信頼される良質な治療を提供できるように、日々精進しています。どうぞご協力よろしくお願いします。
ダヴィンチとは内視鏡手術支援ロボットです。従来の腹腔鏡手術と同様に患者さんの体に開けた小さな創から内視鏡カメラと鉗子を挿入し手術を行いますが、ダヴィンチの特徴として、術者は3Dの立体的な拡大画像を見ながら、コンソールと呼ばれる操縦席から鉗子を操作することで、より緻密で正確な操作が可能となりました。手術中の出血量が少なく、合併症のリスクを軽減できるといったメリットがあり、患者の体への負担が最小限に抑えられことにより術後の回復が早く、早期の退院が期待できます。
ダヴィンチの鉗子は多関節構造を持ち、人間の手より大きな可動域(自由度)と手ぶれ防止機能を備えており、より緻密で正確な手術が可能です。
ダヴィンチのコンソールモニターでは、高画質で立体的な画像が映し出されます。術者は、奥行きがあり30倍まで拡大できる体内画像を見ながら手術が可能となります。
ダヴィンチでの手術は、開腹手術に比べ傷が小さいので、手術中の出血量が少ない、手術後の痛みが軽減できるといったメリットがあります。また術後の回復も早く、早期の退院が可能です。
2018年4月からロボット支援手術の保険適用範囲が拡大されました。当院では以下の疾患に対し、保険診療でロボット支援手術を行っております。
当院では、2019年5月からロボット支援前立腺全摘を開始しました。その後、膀胱全摘や腎部分切除術を導入し、症例数が増加しています。2024年度は約130件のロボット支援手術を施行しました。ダヴィンチを利用して、より安全、確実な手術を行い、悪性腫瘍の治療成績を向上させるように努力していきます。
早期前立腺癌の治療は、前立腺全摘のみならず、放射線治療や監視療法も有効です。患者さんにとって最適な治療法を提示し、安全で確実な治療を行い、患者さんに満足していただくことが私たちの使命です。
⇒「がん診療について」をご確認ください。
前立腺は膀胱の出口付近を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。前立腺の分泌される前立腺液は、精漿という精子の栄養をつかさどる精液の液体成分の約3分の1を占め、精子の運動を維持していると考えられています。
前立腺は青壮年期以降の男性ホルモンの減少などが原因となって、50歳以降に著しく肥大してゆきます。前立腺肥大症とは、老化とともに肥大する前立腺が原因で、前立腺の中を通っている尿道が機械的に圧迫され、尿の出が悪くなり、膀胱が敏感となり、尿が近い、すっきりしないといった色々な症状が生じている状態をいいます。
など、様々な排尿障害が出現します。
通常、前立腺肥大症の治療は内服薬から開始します。薬物療法で効果が不十分な場合、薬の長期服用を避けたい場合、尿道カテーテルを抜去したい場合は手術治療を行います。当科では、最新のツリウムレーザーによる前立腺蒸散術を導入し、高齢者や抗血小板薬・抗凝固薬内服中の方にも、積極的に手術を行っています。また、超高齢者や全身状態が不良の方で手術を希望される場合は、短期間の入院で低侵襲手術である水蒸気治療やウロリフト治療で対応します。
α1遮断薬、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬、抗男性ホルモン薬などの薬 剤を中心に投与します。漢方薬や生薬を補助的に併用する場合もあります。
*ツリウムレーザーによる前立腺蒸散術
尿道から内視鏡を挿入し、経尿道的に前立腺にツリウムレーザーを照射して、肥大した前立腺を蒸散(蒸発)、切除することによって前立腺部尿道を拡がり、排尿障害が改善します。出血量が少なく、蒸散力が強いため、大きな前立腺肥大や、抗血小板薬・抗凝固薬を内服されている患者さんや高齢者の患者にも、安全な手術が可能になりました。術後の尿道カテーテル留置期間や入院期間が短くなりました。当院に治療プログラムは、術後2日でカテーテル抜去、3-4日後に退院します。
*水蒸気治療(低侵襲手術)
前立腺蒸散術と同様、経尿道的手術です。Rezum(レジューム)システムを使用して、103℃の水蒸気を前立腺に噴霧し、前立腺組織を壊死させて尿道を拡げます。短時間で非常に侵襲の小さい手術です。全身状態がやや不良で、外科的な治療のリスクが危惧されている方や長期的にカテーテル留置をしている方を対象に行っています。
*ウロリフト(低侵襲手術)
前立腺内にインプラントを埋め込み、肥大した前立腺を吊り上げることにより前立腺部尿道を広げ、排尿しやすくする治療法です。腰椎麻酔下で施行し、手術時間は約30分程度と短く、入院期間は1日と短期間で、高齢者や多数の合併症がある患者さんにも可能な低侵襲手術です。
表1 各手術方法の特長
手術方法 | 手術時間 | 出血両 | 治療効果 | カテーテル 留置期間 |
侵襲 |
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ツリウムレーザー | 長い | やや多い | 強い | 2-3日 | 中程度 |
水蒸気 | 短い | 少ない | やや弱い | 2-4週 | 低い |
ウロリフト | 短い | 少ない | やや弱い | 1日 | 低い |
TUR-P | 長い | 多い | 強い | 5-7日 | 高い |
骨盤体操や薬物療法で無効な場合は、TOTやTVTなどの尿道スリング手術を行っています。
ロボット支援仙骨固定術を行います。
「我慢できない尿意、またそれに伴い尿が漏れてしまう病気」です。過活動膀胱はよく見られる病気で、男女問わず、高齢者であるほど頻度が高く、高齢化社会の日本では現在1000万人以上の患者数がいると推測されています。
膀胱の筋肉を緩める薬(A型ボツリヌストキシン)を膀胱壁に直接注射する治療です(図1)。米国や欧州など世界で広く行われている治療で、日本でも2020年4月に健康保険が適応となりました。
図1 ボツリヌス毒素の膀胱粘膜下への注入
ロボット支援前立腺全摘術 | 80件 |
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TURBT(経尿道的膀胱癌手術) | 181件 |
腎摘(腎がん) | 鏡視下腎摘:6件 開腹腎摘:2件 ボット支援部分切除:18件 |
腎尿管全摘(腎盂尿管がん) | 鏡視下:18件 開腹:2件 |
膀胱全摘 | ロボット支援:6件 |
前立腺肥大症手術 | 腎尿管結石:83件 膀胱結石:39件 |
TUL(経尿道的尿路結石手術) | ツリウムレーザー蒸散術:110件 水蒸気治療:10件 |
前立腺生検 | 350件 |
氏名 | 池田 伊知郎 |
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役職 | 副院長 兼 地域支援センター長 兼 医療社会福祉相談室室長 兼 地域連携室室長 兼 臨床研修管理室室長 |
専門 | 尿路性器癌 |
医師資格 | 日本泌尿器科学会専門医・指導医・代議員 |
所属学会 | 日本泌尿器科学会 |
氏名 | 佐野 太 |
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役職 | 泌尿器科部長 |
専門 | 泌尿器癌、前立腺肥大症 |
医師資格 | 日本泌尿器科学会専門医・指導医 |
所属学会 | 日本泌尿器科学会 |
氏名 | 松沼 さゆき |
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役職 | 医長 |
医師資格 | 日本泌尿器科学会専門医 |
所属学会 | 日本泌尿器科学会 |
氏名 | 山下 大輔 |
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役職 | 医長 |
医師資格 | 日本泌尿器科学会専門医 |
所属学会 | 日本泌尿器科学会 |
氏名 | 三村 昇 |
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医師資格 | 泌尿器ロボット支援手術(助手) |
所属学会 | 日本泌尿器科学会 |
氏名 | 下田 萌斗 |
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氏名 | 平林 秀捷 |
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所属学会 | 日本泌尿器科学会 |
診療科・部門