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医療安全管理指針

はじめに

医学、医療の進歩は、数多の人間の努力によってもたらされました。そして、病気に苦しむ多くの人々を救い、より豊かな生活へと導く助けとなってきました。しかし、今日の医療は以前とは比較にならないほど複雑化し、精密さが要求されるようになっています。AIの導入が叫ばれていますが、現段階で医療行為を実行しているのは人間です。その人間はエラーと伴に生きています。セオドラ・ルーズベルトは、「ミスをしない人間は、何もしない人間だけだ。」と言っています。私たち医療者は患者さんを救うために、何かをしなければなりません。そして、そこには絶えずエラーの可能性が潜んでいるのです。私たちはまずその認識をもって、常に謙虚さと慎重さを忘れてはなりません。どんな高度な医療であっても、それを安全に遂行できなければ患者さんやその家族を幸せにすることができなくなってしまうのです。


毎日の多忙な業務の中で、今行っている医療のリスクを認識し、エラーの発生を最小限に抑える努力が必要です。また、万一発生した医療事故に対する適切な対応をいつも考えておかなければなりません。そして、その努力と思考を個々人だけに依存するのではなく、医療チーム全体で取り組むことが大切と考えています。より良い医療、より安全な医療を提供するには、全職員の協力が必要です。この指針を拠り所として、当院の医療安全が向上することを祈念しています。

令和4年2月1日
安全推進委員会委員長
三原 久範

安全管理体制・組織図等

事故防止のための基本方針

横浜南共済病院では、患者の立場に立ち、患者が安心して医療を受けられる環境を整えるために、次に掲げる基本方針を定める。

1)安全管理・事故防止対策の取り組み
横浜南共済病院は安全管理(医療)・事故防止対策を病院全体で取り組む。

2)安全管理者等の役割

  • (1)統括安全管理者の業務
    • ①医療安全の統括者として、統括安全管理者を置く。
    • ②統括安全管理者は臨床研修に関する省令の施行より規定される「安全管理者」である
    • ③統括安全管理者を中心にセーフティマネージャー制度等の安全管理体制を設置し、院内の安全対策・事故防止にあたる。
  • (2)安全管理対策室室長の業務
    安全管理対策室室長は、医療安全管理者及び安全管理対策室事務担当を統括し、医療安全管理業務を行う。
  • (3)医療安全管理者の業務
    統括安全管理者及び安全管理対策室室長から権限を委譲され、病院の理念・方針に基づき医療の安全を図り、医療・看護のサービスの質の向上を図るため、他部門と連携し、医療安全のための活動を行う。尚、所定の医療安全管理研修を終了し、専従で医療安全業務を担う。
    • ① 役割と業務範囲
      • a.中核的業務
        ア.院内報告制度等を基盤とした、医療安全のための活動。
        イ.医療安全のための委員会に関する活動。
        ウ.医療安全のための部署間の調整、対策等の提案。
        エ.医療安全のための指針やマニュアルの作成。
        オ.医療安全に関する研修・教育。
        カ.医療安全に関する院外からの情報収集と対応。
        キ.医療安全のための院内評価業務。
      • b.事故発生時の対応業務
      • c.相談窓口に関する業務
  • (4)医薬品安全管理責任者の業務
    医薬品安全管理責任者は薬局長とし、病院長の指示の下、次に揚げる業務を行う。
    • ①医薬品の安全使用のための、業務に関する手順書の作成。
    • ②医薬品の業務手順書に基づく業務の実施。
    • ③医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集、その他の医薬品の安全確保を目的とした、改善のための方策の実施。
    • ④従事者に対する医薬品安全使用のための研修実施。
    • ⑤医薬品は、添付文書に則り使用することについて、通知文書や院内グループウェア(イントラネット)を用いて周知を図る。
    • ⑥薬剤科における定期的な部署ラウンドにおいて、医薬品の使用状況に疑義が見受けられた場合は、その報告を受け処方医師への確認とともに、改善を求める。
  • (5)医療機器安全管理責任者の業務
    医療機器安全管理責任者は臨床工学技士とし、病院長の指示の下、次に掲げる業務を行う。
    • ①医療機器の安全使用のための研修の実施。
    • ②医療機器の保守点検に関する計画の策定や、保守点検の適切な実施。
    • ③医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集、提供を行う。
    • ④医療機器は、添付文書に則り使用することについて、通知文書や院内グループウェア(イントラネット)を用いて周知を図る。
    • ⑤ME科における定期的な部署ラウンドにおいて、医療機器の使用状況に疑義が見受けられた場合は、その報告を受け使用者への確認とともに、改善を求める。

3)安全管理情報の報告
オカーレンス・レポートなど各報告の提出を通じて、院内のリスク情報を早期に把握することに努める。 横浜南共済病院は安全管理(医療)・事故防止対策を病院全体で取り組む。

4)安全推進委員会
安全推進委員会にて、オカーレンス・レポートなど各情報の分析・評価に基づき、リスクの把握・改善策、病院の安全管理対策について審議する。

5)安全管理情報の共有
安全推進委員会等に於いて分析・把握した結果は、病院職員(委託業者を含む)全体で共有する。

6)教育・研修の充実
全ての病院職員(委託業者を含む)の安全管理に関する理解を深めるため、教育・研修を年2回以上開催する。

7)医療安全管理指針の見直し、改訂
安全推進委員会は、医療安全管理指針が常に実践的に使える内容を維持するため、少なくとも年1回以上、医療安全管理指針の見直しに関する改訂の検討を議事として行い、本指針の改訂にあたっては安全推進委員会で協議し、管理者会議の決定により行う。
また、病院職員(委託業者を含む)は、本指針に関する意見・相談等について安全推進委員会に申し立てをすることができる。

8)情報の共有に関する基本指針
患者及び家族からの情報の共有に関する請求(閲覧)について、特定の個人情報に抵触する部分は個人情報保護管理委員会に諮る。また、それ以外の部分については積極的に提供を行う。なお、情報の共有に関する請求(閲覧)の取扱い窓口は、安全管理対策室が行う。

9)他委員会との連携
病院の安全管理に関する各種委員会・会議は、各々関連の委員会と連携し、安全管理活動の推進に努める。