横浜南共済病院 循環器内科
2025年1月27日より、心房細動に対する最新の治療方法であるパルスフィールドアブレーションを開始しました。
従来の心房細動に対するカテーテルアブレーションは、高周波もしくは冷凍バルーンカテーテルで焼灼もしくは冷凍凝固を行い、心房細動の原因となる心筋を障害する、「熱エネルギー」による治療法でした。
一方、パルスフィールドアブレーションは、「パルス電圧」を用いて治療を行う新たな心房細動治療法です。カテーテルの先端からパルス電圧をかけることで、心筋の細胞膜に小さな孔をあけ細胞死を誘導し、心筋障害を引き起こします。このパルス電圧を用いた細胞穿孔法は、既にがん治療や遺伝子治療といった医療分野のほか、分子生物学など研究・実験分野、食品加工といった食品・農業分野、汚水・水質処理などの環境分野など、幅広い分野に応用されています。
パルスフィールドアブレーションの最大の特徴は、安全性です。パルス電圧は心筋のみに作用し熱も発生しません。そのため、従来の治療法で起こりうる心臓周囲組織への障害(横隔神経障害や胃食道蠕動運動障害)や肺静脈の狭窄がほぼ生じないとされています。また、極短時間のパルス電圧を用いるため治療時間の短縮が期待され、一方でこれまでの治療法と同等の有効性が示されています。