当院は、産婦人科のほぼ全分野の診療、一般婦人科、周産期医療、内分泌、悪性腫瘍、女性ヘルスケア(更年期、骨粗鬆症など)の診療を行っています。現在スタッフは9名で、全員女性医師が担当しています。
分娩に関しては予約制ですが、予約制限はなく、当院で管理できる患者様の分娩は基本的にすべて受け入れております。里帰り分娩、里帰り分娩までの健診も可能です。助産師による妊婦健診(助産師外来)を開設しており、立ち合い分娩も要望に応じ行っています。
産科については下記ページをご覧ください
婦人科良性腫瘍は、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などに対して、内分泌治療や手術治療を行っています。基本的には低侵襲手術である内視鏡手術(腹腔鏡手術、子宮鏡手術、ロボット手術)を行っていますが、開腹手術、腟式手術も行っています。
婦人科悪性腫瘍、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌などに対しては、開腹手術、内視鏡手術(腹腔鏡手術、ロボット手術)での手術治療から、化学療法、分子標的薬治療など、最新の治療薬も取り入れながら、患者様にあった、適切な治療を受けていただけるよう日々取り組んでおります。
地域の皆様に質の高い、安心できる産婦人科医療が提要できるよう心がけて参ります。
子宮筋腫、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍などに対し、内服治療や手術治療を行っています。手術治療は、内視鏡手術(腹腔鏡手術、子宮鏡手術)を中心に行っています。腫瘍の大きさ等により、開腹手術、腟式手術も行っていますが、基本的には低侵襲手術を目指しています。
子宮筋腫、子宮腺筋症といった子宮良性疾患、良性卵巣腫瘍に対しては、腹腔鏡手術、子宮鏡手術といった内視鏡手術を積極的に行っています。
子宮鏡手術は、子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫などの子宮内の病変に対して、2、3日の入院で手術を行っています。腹腔鏡手術は、子宮筋腫、良性卵巣腫瘍、異所性妊娠(子宮外妊娠)などに対して行っており、4日~6日の入院となります。
まずMRI、CTといった画像診断を行い、適切な治療方法、手術術式を、患者様に応じて決定していきます。筋腫、卵巣腫瘍の大きさによっては開腹手術をお勧めする場合もあります。開腹手術の場合は、術後約1週間程度で退院の予定となります。
卵巣腫瘍茎捻転、卵巣腫瘍破裂、異所性妊娠などの緊急手術が必要な場合、時間外でも腹腔鏡手術での対応が可能ですが、患者様の状態、緊急性により開腹手術、腹腔鏡手術の決定を行って治療を進めています。
月経困難症(生理痛)、過多月経など、月経症状に対する治療、子宮内膜症・内膜症性嚢胞(チョコレート嚢腫)に対する治療は、手術療法以外に様々なホルモン治療の選択肢が増えています。個々の症状、病態に応じホルモン治療の薬剤は選択されるため、外来にて担当医と相談のうえ治療の選択をしていただければと思います。
当院での婦人科内視鏡手術は、腹腔鏡手術、子宮鏡手術、ロボット手術を行っています。腹腔鏡手術、ロボット手術は、3~5か所腹部に5~15mmほどの切開を加え、おなかの中(腹腔内)に内視鏡(カメラ)を入れて、手術操作のための鉗子(かんし)やハサミを挿入する筒(ポート)を挿入し、炭酸ガスでお腹を膨らませて(気腹)、内視鏡で腹腔内を観察しながら手術を行います。従来の開腹手術に比べ傷が小さいので、身体への負担が少なく、早期退院、早期社会復帰が可能です。子宮筋腫、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍、異所性妊娠(子宮外妊娠)などの疾患に行っています。また、2019年4月より、子宮筋腫、子宮腺筋症といった良性疾患の子宮全摘術、初期の子宮体癌などに対し、ロボット支援下子宮全摘術も行っています。また、2023年からは腟式腹腔鏡手術(vNOTES)を始めました。この手術は、お腹に傷のつかない腹腔鏡手術で、粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなどの比較的小さい子宮に対しての子宮全摘術を、腟の方から操作を行う腹腔鏡手術です。腹部に傷がないので、術後2日目で退院が可能です。
子宮鏡手術は、子腟部より直径10mmの内視鏡を子宮内に挿入し、子宮内部にある病変、子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫などを処理する手術です。お腹に傷がないので、術後の回復が早いメリットがあります。
様々な手術術式がありますが、患者様にあった手術方法を相談しながら決定していきます。
子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌の3大婦人科悪性腫瘍をはじめ、腹膜癌、外陰癌、腟癌などの婦人科悪性腫瘍の治療を行っています。手術治療、抗癌剤治療(化学療法)、放射線治療から、分子標的薬治療、免疫療法といった最新の治療も取り入れています。
手術は、開腹による広汎子宮全摘術、卵巣癌根治術などから、内視鏡手術(腹腔鏡手術、ロボット支援下手術)まで広く行っており、患者様の病態(進行の程度、病気の種類など)によって治療方法を決定していきます。
当院のがん治療の原則は、日本産科婦人科学会、日本婦人科腫瘍学会から発刊されている悪性腫瘍治療ガイドラインに従って治療を行っています。また、婦人科癌手術においては、外科、泌尿器科と連携体制をとっており、また病理専門医が常勤しているので、迅速診断が必要な場合も対応が可能です。当院には緩和支持療法科があるため、終末期だけではなく、治療中から緩和ケアチームと連携を取りながら、疼痛コントロール、副作用対策などが可能です。治療開始から、終末期医療まで一貫した診療体制が取れるようになっています。
当院では高圧酸素治療が可能です。放射線治療の晩期障害である膀胱出血、消化管出血に対し、ME科(臨床工学技士)に治療を依頼しています。治療を希望される患者様が、治療中の担当医師より、治療経過を記載した紹介状を作成していただき、産婦人科外来にお問い合わせください。
子宮頸癌に対しては、診断として、細胞診、コルポスコープ診と組織診といった病理組織診断に加え、MRI、CTなどにより診断を行い、個々の病状に応じた治療法を選択しています。
①異形成:軽度~中等度異形成の場合は、自然に消失する場合もあり経過観察とします。この場合、子宮頸癌の原因ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV: human papilloma virus)の型判定を行い、ハイリスクタイプ陽性の場合は慎重経過観察となります。高度異形成の場合、癌へと進行する確率が高くなるため、円錐切除術を行います。円錐切除術は、電気メスで腟部を円錐形に切り取る手術です。
②上皮内癌:上皮内にのみ癌細胞がみられる状態で、子宮本体に浸潤していない状態なので転移の心配はありません。治療としては円錐切除術を行います。場合によっては、引き続いて子宮全摘術(腹腔鏡手術、開腹手術、ロボット手術)を行うこともあります。
③浸潤癌:癌の進行程度により進行期ステージⅠ~Ⅳが決定し、進行期により治療方法が異なります。
手術は癌の進行程度により、単純子宮全摘術から、子宮周囲の靭帯リンパ節まで広汎に切除する広汎子宮全摘術を行っています。術後、または手術不可能な進行がんの場合は放射線治療や、化学療法併用放射線治療を行います。
子宮体癌に対しては、細胞診、内膜組織診、MRI、CTの検査結果より診断し進行期を決定、個々の進行期に応じた治療法を選択しています。基本は手術治療が優先されます。
手術治療は、子宮全摘+両側付属器(卵巣+卵管)に加え、骨盤リンパ節、場合によっては傍大動脈リンパ節の郭清(摘出)を追加する場合もあります。開腹手術に加え、初期癌に対しては、腹腔鏡手術、ロボット手術も行っています。術後、再発リスク高いと判断される場合は、化学療法を行います。
卵巣癌に対しては、超音波、MRI、CTといった画像診断により、大きさ、形態・性状を検査します。血液検査において、腫瘍マーカー(CA125、CA19-9、CEA、LDH、HE4など)が高値になることがあるため、画像診断と併用し診断します。
卵巣は腹腔内の臓器であるため、手術前に組織診断が困難です。よって、画像診断で卵巣悪性腫瘍が疑われる場合は、手術によって病変を切除し病理診断を行って診断がつきます。
術前に腹水貯留があり、腹水から癌細胞が検出されて、卵巣癌と診断される場合はありますが、通常は術前に癌であるか判明していないので、術中に迅速病理診断を行い、その結果で術中に術式を決定します。
基本手術は、子宮全摘術+両側付属器切除術+大網切除術、症例によっては骨盤~傍大動脈リンパ節郭清が追加されます。
妊娠・出産を強く希望される場合、若年者の場合は、子宮と対側の卵巣を温存する縮小手術も考慮されますが、進行期や病理学的分類にもより個々に対応が必要となります。
手術後、または手術を行う前に化学療法を行う場合があります。使用する薬剤は、治療ガイドラインに沿って選択し、いくつかの薬剤の組み合わせにより治療を行います。
卵管癌・腹膜癌は、組織型などが卵巣癌を類似しているため、卵巣癌の治療に準じて治療を行っています。
絨毛癌は、妊娠の後(正常妊娠、流産、胞状奇胎など)に発生することがある癌です。病理組織検査で診断を行い、いくつかの診断基準を満たすことで臨床的に診断される場合があります。メトトレキサートMTXを中心とした化学療法により治療を行います。手術治療が必要な場合もあります。
婦人科手術 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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開腹手術 | 広汎子宮全摘術 準広汎子宮全摘術 単純子宮全摘術 |
5 12 23 |
4 19 30 |
4 15 50 |
3 14 28 |
2 2 32 |
子宮筋腫核出術 | 4 | 5 | 9 | 4 | 5 | |
附属器手術 良性 悪性 |
19 21 |
10 19 |
18 28 |
10 15 |
12 16 |
|
その他 | 15 | 2 | 13 | 4 | 0 | |
腹腔鏡下手術 | 単純子宮全摘術 準広汎子宮全摘術 |
63 0 |
68 1 |
68 0 |
84 2 |
91 4 |
附属器手術 | 88 | 98 | 77 | 90 | 85 | |
子宮筋腫核出術 | 25 | 17 | 11 | 8 | 13 | |
その他 | 15 | 8 | 16 | 8 | 4 | |
ロボット手術 | 子宮全摘術 | 6 | 8 | 6 | 8 | 2 |
子宮鏡手術 | ポリープ・筋腫摘出 | 16 | 17 | 14 | 14 | 15 |
腟式手術 | 円錐切除 その他 |
40 59 |
21 57 |
37 76 |
53 73 |
29 68 |
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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子宮頸癌 (CIS・AISを除く) |
7 | 7 | 9 | 6 | 6 |
子宮体癌 (AEHを除く) |
28 | 36 | 25 | 23 | 22 |
卵巣癌 | 18 | 18 | 22 | 17 | 20 |
その他の癌 | 2 | 2 | 7 | 0 | 2 |
女性ヘルスケアとは、女性のライフステージに合わせた健康問題を扱う産婦人科の専門領域です。女性特有のホルモンの変化や心身機能の変化に対応し、生活の質(QOL)の向上を目指します。
月経困難症、月経前症候群(PMS/PMDD)といった月経関連疾患や、卵巣機能障害(月経不順)、更年期障害、骨粗鬆症などを対象疾患としています。女性ヘルスケアでは、ホルモン療法や漢方療法、対症療法などを適宜組み合わせて治療を行います。一般婦人科外来でも診療・治療を行っていますが、専門外来として女性健康外来を開設しています。まずは一般婦人科外来で産婦人科担当医にご相談ください。
主に女性のヘルスケアとして、骨粗鬆症、更年期障害に対しての治療を行っています。 骨粗鬆症は閉経後に増加する女性に多い疾患の一つです。当院ではDEXA(デキサ)法のX線骨密度測定器を導入して骨密度検査を行っております。
骨粗鬆症の検査から、実際に骨量低下、または骨粗鬆症と診断された場合は、生活指導(食事と運動)から薬物治療を行っていきます。骨粗鬆症の薬剤、内服薬(飲み薬)から注射剤まで何種類もあり、患者様にあった治療を選択し、定期的に骨密度の測定を行いながら治療効果を確認していきます。
更年期障害に対しては、漢方薬、ホルモン治療を行っています。ホルモン治療も患者様の症状、年齢によって選択肢が分かれるため、個々に相談しながら治療方法を決めていきます。
他、月経関連症状、卵巣機能不全、女性の心身症などの治療も行っています。担当医にご相談いただければと思います。
現在、当院の産婦人科では、日本産科婦人科学会と共同で臨床研究『日本産科婦人科学会データベース登録事業(周産期登録・婦人科腫瘍登録)』を実施しています。そのために、当院で保管する診療情報を匿名化して日本産科婦人科学会に提供しております。
氏名 | 永田 智子 |
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役職 | 部長 |
医師資格 | 日本産科婦人科学会専門医・指導医 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 古野 敦子 |
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専門 | 腫瘍・内視鏡手術 |
医師資格 | 日本産婦人科学会専門医・指導医 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 内田 絵梨 |
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役職 | 医長 |
医師資格 | 日本産科婦人科学会専門 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 鈴木 絢 |
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役職 | 医長 |
専門 | 日本産科婦人科学会専門医 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 宮本 麻美 |
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役職 | 医長 |
医師資格 | 日本産科婦人科学会専門医 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 佐藤 理穂 |
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役職 | 医長 |
医師資格 | 日本産科婦人科学会専門医 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 清瀬 愛 |
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医師資格 | 日本産科婦人科学会専門医 |
所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 平井 佑子 |
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所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
氏名 | 筒井 妙美 |
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所属学会 | 日本産科婦人科学会 |
診療科・部門